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販路開拓/山田兄弟製紙株式会社

「越前和紙の特徴を生かしたマスクケースを東京の老舗ホテルや京都の有名和食店に納入」

新型コロナの感染拡大で様々なイベントが中止になった。企業の展示会もその一つであるが、それによって展示会用のノベルティグッズ(粗品、景品)の発注も全てキャンセルになってしまった。
売上に占める割合は小さいとは言えず、看過することはできなかった。そこで、コロナの拡大によって急速に普及したマスクに関連するグッズを作ることを決断した。第1弾は使い捨てマスクを数枚入れて持ち歩けるような携帯用マスクケースであった。

和紙の特徴を生かして、特に女性をターゲットとした色合いの紙を選び、財布と同じように長財布型と2つ折り型を設定して製作した。
これは和紙組合などを通じて、直売所などに卸して販売を開始したところ、福井県知事も注目してわざわざ買いに来られるなどの結果が出た。
県外への販売を視野に入れ、ターゲット層が購入するような雑誌を10誌ほど選んで、編集部宛にサンプルを送付したところ、1誌からすぐに反応があり、読者プレゼントと併せて雑誌で紹介された。

これを製作する過程で、「高級な飲食店などでは使い捨てのマスクケースを提供し始めているので、これも作ってみたい」ということになった。
1枚15円程度の単価で製作できるということであったが、飲食店にとっては原価がアップすることになる。来客1人に対して15円の原価増を吸収するには、客単価が少なくとも1万円以上の飲食店でなければ難しい。相当な高級店しかターゲットにならないということになる。
また、実際にそのようなものに関心を示すかどうかも検証しなければならない。
そこで、担当コーディネーターのルートを活用して、客単価が3万円を超える京都の有名和食店に持ち込んで、意見を聞いてみることを提案した。

そのお店の大将にサンプルとして示したものには透かしが入っていたが、お店のイメージとのバランスから、透かし無しのものであれば使ってみたい、という返答であった。実際、翌日には女将さんから電話が入り、すぐに発注したいという連絡を受けた。

高級店なら可能性がある、という仮説が検証できたので、次に狙ったのは東京の老舗ホテルであった。これも担当コーディネーターのルートでサンプルを送って打診したところ、既に使っているものがあるが、在庫が減っており、追加するか変更するかを検討しているので、是非検討してみたいという答が返ってきた。
以後、形状、細部のデザイン、透かしの有無、透かしのデザインなどについて、オンラインミーティングやメール、電話のやり取りを重ね、11月初旬に発注が決まった。

12月中に2000枚、残り8000枚もでき次第納品ということで、1万枚の注文を受けた。初回納品の2000枚はお正月プランの利用者に提供され、残りは特別フロアの宿泊者に提供されることになっている。

携帯用マスクケース
越前和紙製品

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